昔の嫌なことを思い出す心理として重要なのは、それを思い出した時に自分が感じる感情であったり、ストレスの重さは変えていくことができる、という部分です。その対処法の鍵となるのはその感情の受け止め方です。
【目次】
・昔の嫌なことを思い出す心理
・記憶と感情
・様々な感情
・セルフケア
・最後に
昔の嫌なことを思い出す心理
ふとしたときに昔の嫌なことを思い出すことで、なんだかネガティブな気持ちになるようなことはあるでしょうか?
一人の時間。例えば、起きた時や寝る前、お風呂に浸かっている時や、家路に向かって一人歩いている時など、最近あったことを色々と思い返すような瞬間に、ふとそんなことを思い出してしまうようなことはないでしょうか?
疲れている時や弱っている時など、心理的にネガティブになりやすいときほど、そういった記憶は思い出しやすいかもしれません。記憶は何らかの形で他のものと結びつけて頭の中に格納されているので、何かをきっかけに普段忘れていることを思い出したりするようなことはあると思います。昔の嫌なことはその出来事とセットで感情としても覚えているので、類似した感情を感じると、それをきっかけにその感情を感じた時の出来事も一緒に思い出す、なんていうことも起きます。
例えば、誰かに腹をたてて文句を言いたくなったようなときに、そういえば、あれもこれも腹が立った!、なんていう風に、直接的には無関係な出来事も、怒りという感情で結びついて思い出されることもあります。
昔の嫌なことを思い出す心理として大切なのは、それを思い出した時に自分が感じる感情であったり、ストレスの重さは変えていくことができる、という部分です。このとき、鍵となるのはその感情の受け止め方です。
記憶と感情
その嫌な思い出を忘れたいと思ったことはあるでしょうか?
あるいはその記憶を手放したいと思ったことはないでしょうか?
もし、忘れたいと思っても、忘れられない記憶があるとすれば、その記憶や感情に対しての執着のようなものがあるかもしれません。
もしかしたら、忘れられない、ではなく、忘れたくない、というのが本音かもしれません。許せない人が心の中にいるのであれば、あんなことがあったのを、水には流せない、と思えるかもしれません。あの出来事を、なかったことにはできない、という想いも出てくるかもしれません。
もう2度とそんな目に会いたくないから、そういったことをしそうな人たちを避けるようにしたかもしれません。痛い目にあったから、自分の身を守る術を身につけてきた、という方もいらっしゃるかもしれません。ある意味では、その手痛い出来事があったからこそ、今の自分がいるという部分を感じておられる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、もし、その過去の記憶から生まれるネガティブな感情に引っ張られて、嫌な気分に浸ってしまうことがあるとするのならば、その瞬間は、今を生きると言うより、過去に生きているような感じになっているかもしれません。
今も心に残るあなたにとっての過去の衝撃的な出来事。その記憶をなかったことにはできなくとも、その記憶と癒着しているネガティブな感情については、一部手放してあげることができます。
様々な感情
注目してほしいのは、その過去の出来事そのものではなく、そのイメージを見たときにあなたが感じる感情です。仮にその過去を思い返すとしたら、今のあなたがそれを見て何を感じるでしょうか?
怒り、がっかりするような感じ、悲しみ、心が引き裂かれる感じ、言い返せない感じ、罪悪感、自分がちっぽけになったような感じ、様々な想いがそこにあるかもしれません。
心を落ち着けて、その感情の中にゆっくりと入っていくとして、1つの感情を感じていくと、しばらくしたら、別の想い、別の感情が湧き上がってくることになると思います。感情は繋がっていて、イメージとしては、そこからその感情の下に別のもっと深い感情があるとしたらなんだろう、というのを探っていくと、どんどん深い感情に入っていくことができます。
セルフケア
よくあるのは、幼い頃やずっと昔に感じた古い根深い感情が、何かの出来事に刺激されて、もう一度再体験される、というパターンです。昔あった嫌なことも、よくよく探っていくと、それはさらにそれよりも過去の出来事で感じた感情が再体験されたものだ、ということも、ここで気づくことができます。
基本的には、大人の自分の心の中に、幼かった頃の傷ついた癒されていない子供の部分がいるので、そこをケアしていくこと。そこをケアするための心理エクササイズを以下の記事の中に書いています。一旦さらっと目を通してもらって、役立てそうならじっくりと時間をとって一度試してもらえれば、と思います。
最後に
昔の嫌なことを思い出す心理とその対処法について書きましたが、出来事の記憶をなくすことはしなくとも、それを心の中でどう感じていて、どういう受け止め方をしているのか、という部分は変えていくことができるものです。ネガティブな感情に支配されそうなときに、ここに書いたことで何かしらお役に立てられるところがあるのなら幸いです。
ただ、昔の嫌なことに対しての記憶や感情に対して執着している部分が自分の心のなかにあって、どうしてもそこに強くこだわってしまう、というケースもあります。その場合、執着を手放す、ということが心理的な課題となってくるかもしれません。執着を手放すための具体的なやり方については、以下の記事の中に書いていますので、参考にしていただければと思います。