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心の悩み

過去に経験した嫌な記憶の扱い方

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普段は忘れているけれども、ふとしたときに思い出す過去の嫌な記憶。疲れているときに限って、そういったことを思い出しやすい、という人もいたり、人によっては、普段忘れているというより、いつも思い出す、という人もいるかもしれませんが、過去の嫌な記憶というのは、ただその時の言葉や状況を思い出すというだけじゃなくて、ネガティブな感情も一緒になって思い出す、という感じになるではないかと思います。

気持ちを切り替えて、楽しいことや嬉しいことの方に目を向けること。嫌なことも思い出すことを繰り返すほどに、そっちに目を向ける意識が強化されてしまうという一面もありますので、基本的には、なるべく気持ちを切り替えるようにした方がいいと思います。ただ、そうしたくても過去の感情にどうしても引きずられたり、いつも心の中に浮かんでくる記憶に悩まされるといったケースもあると思っています。

今回の記事では、気持ちをなかなか切り替えることができない、わりと手強い過去の嫌な記憶に関しての、感情面でのケアの方法を書いていきます。

 

過去に経験した記憶が思い出されてきたときに感じる、ネガティブな感情。同じ感情をずっと感じ続ける、というより、1つの感情を感じていくと、しばらくしたら、別の感情が湧き上がってくる感じになると思います。最初は怒りを感じていたのが、しばらくすると悲しみが出て来たり、罪悪感を感じたり、など。これを延々とやっていると、ネガティブな感情に浸っているような状態になりますが、そこでちょっと注目してもらいたい点があります。

感情を感じる時によくあるのが、幼い頃やずっと昔に感じた古い感情が、何かの出来事に刺激されて、もう一度再体験される、というものです。この、心の奥深くにある古い感情が出てきたかどうか、というところに注目してみると、何か気づけることはあるでしょうか?

幼い頃にできた心の中にある古い傷。僕たちは幼い頃体験した出来事に対して、幼い時の自分なりの解釈をすることになります。もし、大人になった自分がそのときの出来事をありのままにみたのなら、ちょっと相手の言い方がきつかっただけで、そこまで悪いことをしたわけじゃなかったとしても、その幼い時の自分は、自分自身のことを「とても悪い子だ」と思って、とても強い罪悪感を感じていたりすることがあります。あるいは「私なんて、いてもいなくてもいいんだ」と思って、自分自身のことをとても無価値であるかのように感じていることもあるかもしれません。

幼い頃にできた心の中にある古い傷がルーツとなって、さまざまな感情が引き起こされます。そのルーツとなっている古い傷に対してケアをしてあげることできると、それに関連する様々な感情に対しても芋づる式にケアをしてあげることができます。自分にとって、そんなルーツとなっているような感情には、どんなものがあるのだろう、ということに対して気づいて理解することができれば、それは自分自身のことを深く知る、ということにつながります。

以下に、そのルーツとなっている感情をケアするための心理エクササイズを書きました。まずは一旦さらっと目を通してもらって、役立てそうならじっくりと時間をとって一度試してもらえれば、と思います。

 

 

過去に経験した古い感情をケアするためのエクササイズ

ルーツの部分に触れて、傷ついたハートを持つ幼い頃の自分の姿を、心の中でイメージしてみてください。その幼い頃の自分のことを、今現在の自分が、大人の目でみてあげてみてください。
この子は、そんなに悪い子でしょうか?
この子は、いてもいなくてもいい無価値な子でしょうか?
そんなことないよ、という目で幼い頃の自分のことをみてあげてください。

この子がどれだけ傷ついているか、あなたはよく理解していると思います。どんな風に自分自身のことを扱っているか、あなたほど理解している人はいないと思います。
この子には、どんな風に接してあげるのがいいと思えるでしょうか?
この子は、どうしてあげたら一番喜ぶでしょうか?
イメージの中でこの子に近づいて、優しく接してあげてみてください。

イメージの中で、その子のことを抱きしめてあげてください。
かけてもらいたいだろうな、と思う言葉を言ってあげてください。
やってもらいたいだろうな、と思えることをやってあげてください。
あなたの心のイメージの中で、その子のことをケアしてあげてください。

この子の心の傷を癒すために必要なのは、この子が罪悪感を感じているのなら、許しを受け取れるようにしてあげること。この子が自分自身のことを無価値であるように感じているのなら、その無価値観を手放せるようにしてあげること。そのためにも、意識的にその幼い頃の自分のことを、愛されるべき価値のある子、という目でみてあげてください。

 

過去を変えることはできないですが、過去に対する解釈を変えることはできます。イメージの中でその幼い頃の自分と一緒に、その傷ついたときに起きた過去のシーンに戻ってみてください。その幼い頃の自分一人にその場面に戻らせるのではなく、大人のあなたも一緒に連れ添って、イメージを使ってその過去に戻ってみてください。ただし、あなたの仕事は、ネガティブな感情でいっぱいいっぱいになっている、その子のサポートです。そのときの情景を一緒に見て、その子に聞いてみてください。
「何が一番嫌だった?」
その子の話を聞いてあげて、サポートしてあげて下さい。その子がどんな風にサポートされるのが嬉しいのか、あなたはよく理解していると思います。もしその子が泣き出したら、その子が落ち着くまでそばにいて、サポートしてあげることに注力してください。

 

その子が少し落ち着いたら、その情景の登場人物の心の中にもある、心の傷、を想像してみてください。完璧な人なんて誰もいないように、その情景にいる登場人物にも至らない点はたくさんあると思います。悪者がいる、という解釈もできるかもしれませんが、それよりも、未成熟であったり、自分のことでいっぱいいっぱいだったり、不出来だったり不完全だったりする人がいる、という解釈をした方が、人の内側にある心の傷、を想像しやすいかもしれません。

自分を傷つけたと思える人たちの中にちらつく悪意やただの自分勝手、に思えるようなものの中には、過剰な自己防衛や心の余裕のなさや愛情の枯渇、といった要素があるものかもしれません。心に傷を抱えていると、それがいろんな感情や心の中にブロックのようものを作り出して、周囲の人たちに対してネガティブな感情を感じさせるようなことを言ったり、バカにしたような態度をとったり、ときに相手を力で押さえつけるかのようなことをしてしまったりするのですが、その情景の登場人物の心の中にも、そんな痛みの部分があるのかもしれない、ということを、あえて意識的に想像してみてください。

そこには、あなたにとって、許せないことをしでかした人、がいるかもしれません。許せないという想いがあふれてくると、そんな想像をすることにも抵抗感が出るかもしれません。あなたにとって、敵、と思えるような人もいるかもしれません。幼かった頃の自分を背中にかばって、大人の自分がそんな敵に向かって反撃したい想いにかられることもあるかもしれません。もし、怒りが燃えあがってたまらない気持ちになったのなら、それを紙に書き出すこと。心理学的には、怒りというのは感情のフタのようなもので、その怒りの下に幼い頃の傷ついた自分のハートが隠れているような構造になっているのですが、ここで怒りに激しくかられるようなら、一旦、紙に書き出して、怒りの部分を吐き出す、ということをしてください。紙に書き出したら、捨てること。怒りは心の中に大事にとっておくものというより、吐き出すもの。トイレに行くようなものだと思ってもらうと良いかもしれません。それは適切に自分の内側を循環した後、自然に排泄されるべきものです。怒りを表現した時、自分の心が鬼になったかのように感じることもあるかもしれませんが、それは誤解です。周囲に被害を撒き散らすことなく適切に処理して吐き出す分には問題ないです。ためたら便秘になっちゃいます。ただ、自然に吐き出しましょう。水洗トイレって本当によくできてますよね。あんな臭いものを適切に処理して、衛生面を維持してくれるんですから。アレを人に投げつけるというのはただの危険人物ですが、怒りも似たようなものだと考えてみても良いかもしれません。トイレは日々の生活で使っていると思いますが、感情も同じように処理すべきものは処理しましょう。抵抗感が少し落ち着いたら、再チャレンジ。その人の中にもある心の痛みの部分を、意識的に見てみようとしてみてください。

自分を傷つけたその人の攻撃性の裏側にある、弱点、痛み、パンドラの箱のような部分、を俯瞰的に意識的に想像してみてください。その人の心の中にある弱点のような部分です。弱いところ、不出来なところ、未成熟なところ。その人の中にある、心の弱い部分。もし、そんなところを突かれたら必死で守ろうとするんだろうな、というところ。そんなところに気づいたら、さっそく心の中で攻撃したくなるかもしれませんが、ここでやりたいのは、私自身も至らないところや弱点があるのと同じように、私を傷つけた人のなかにもそんな部分があったのかもしれない、という視点を受け取るということです。

自分を許せないのと同じように、自分を傷つけた人も許せないから、どっちも悪い、と、その過去のシーンの登場人物全員を裁く心があると思います。でも、全員完璧な人間になるまで許さない、というのは無理がありますよね。どこかで「仕方ないか、、、、」と許容する心もあってよいかもしれません。自分が弱点をカバーしきれないのと同じように、自分を傷つけた人たちも、いっぱいいっぱいだったのかもしれない、という部分も、意識的に見ようとしてみてください。

幼い頃の自分。罪悪感を感じて自分を責めていたかもしれません。自分を無価値であるかのように感じて、自分のことをいてもいなくてもいい存在、というように自分で自分のことを扱っていたのかもしれません。もしかしたらそれは、完璧じゃないとダメだと裁く心の狭さのようなものが生み出した心の傷、といった一面もあったのかもしれません。

同じことをもう一度書きます。
この子の心の傷を癒すために必要なのは、この子が罪悪感を感じているのなら、許しを受け取れるようにしてあげること。この子が自分自身のことを無価値であるように感じているのなら、その無価値観を手放せるようにしてあげること。そのためにも、意識的にその幼い頃の自分のことを、愛されるべき価値のある子、という目でみてあげてください。

その過去のシーンの登場人物たちにも、同じような視線を注いであげることはできないでしょうか?

もし、そんな目で見てあげることができるのなら、その過去のシーンの登場人物たちは全員悪者ではなく、ただ、みんな弱点を抱えた人間がいただけ、という視点を受け取ることができます。そして、もし、そんな人たちを責める気持ちを手放すことができるのなら、それと一緒に、幼い頃の自分が抱えていた心の傷を生み出した、罪悪感や自分自身を無価値だと裁くマインドを手放してあげることができるかもしれません。

最後に自分自身に問いかけてみてください。以下を上から順番に2、3回繰り返してみてください。自分に質問を投げかけたら、3秒以内に直感で答えてください。
・全員許すことはできますか?
・全員許しますか?
・いつ許しますか?

──────────────────

 

過去に経験した嫌な記憶の扱い方を、心理エクササイズ込みで掘り下げて書きました。何かしらお役に立てるところがあるのなら、幸いです。

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