期待に応えようとして自分を追い詰めすぎてしまったとき

投稿日:2019年2月5日      更新日:

 

仕事上のプレッシャーのようなもの。ある程度はあっても不自然ではないですが、それを強く感じすぎるあまりに、耐えられなくなってしまうようなことはあるでしょうか?

ある程度の成果を求められることや、できて当然と思われるようなことをこなしていくときに、ときに、失敗しないように頑張るのに疲れを感じるようなこともあるかもしれません。責任感の強い方や真面目な方であれば、周囲からの期待に応えようとして、自分で自分を追い込んでしまいがちになる方もおられるのではないかと思っています。

周囲から求められていることに対して、上手にはこなせなかったり、十分な成果をあげることができないことに対しての怯えや怖れのようなものを心に抱いていることで、その重圧に押しつぶされるように感じるようなことも、ときとしてあるのではないかな、と思っています。

もし、強い苦痛を感じるようなことがあるのなら、ちょっと心の中で整理してみてもらいたきことがあります。

心の中に、どんなプレッシャーや怖れがあるでしょうか?
もし、失敗してしまったとしたら、どうなると思っているでしょうか?

何に怖れを感じているのかがあいまいな状態よりも、明確になっている状態の方が心の負担が少し軽いです。漠然とした怖れや不安を感じている状態から、何を怖れているのかを明確にしていくことは、自分自身への理解を深め、怖れを取り扱うときの力になります。

そのネガティブな感情や感覚を作り出している思考にはどんなものがあるでしょうか?

例えば、自分の身を守るために、できるだけ最悪の状態を想定して心と体に構えのようなものを作る癖がある場合、何事もおおごとにしすぎたり、過度な緊張状態が作り出されがちになるのですが、そういう癖がある場合は、その癖を作り出すためのベースとなる思考が心の中にあります。
「〜なときは、〜になるものだから、構えておいた方いい。」
「〜なことをされるとき、相手は〜と考えているはず。そうじゃないこともあるけど、最悪のことを想定して振る舞った方がいい。」
などなど。そうすると、余計な心配事を抱えすぎたり、無駄に緊張しすぎたり、過剰に危機感を持ったりすることになるので、同じことをしていても多めに疲れたり、多めにストレスを感じたりしやすくなります。

例えば、期待に応えられないと、自分の評価が下がる、とか、職場での居場所がなくなる、とか、最終的に職を失う、といった思考があるかもしれません。どんなことができていないとまずいと思っているのか、その思考を整理してください。
「〜ができていないと、どう思われるかわからない。」
「〜は無理でも守り切った方がいい。じゃないと、何を言われるかわからない。」
などなど。客観的に見つめてみると、考えすぎかなぁ、と思えてくるものも出てくるかもしれません。

怖れやプレッシャーを作り出す思考が自分のなかに存在するとしたら、どんなものがあると思えるでしょうか?

この思考というのは、あなたの中で、当たり前というか、当然のこととして考えているものなので、当たり前すぎて、自分以外の人も同じように考えているもの、ある意味では、あなたの中で常識というか、空気のようになっていて、そういう思考があるとすら自分では普段意識しないものかもしれません。
ただ、今改めてそういう思考があるとしたらどんなものがあるか、ということを思い巡らせてみると、どんなものがでてくるでしょうか?

そこの理解を進めていくことで、自分の中にある思考のために、プレッシャーや怖れが増幅されている、ということに気づくことができます。

仕事に対して真剣に必死に取り組むことは素晴らしいことだと思います。ただ、怖れやプレッシャーを強く感じすぎると、同じことをしていても、普通にやっているのと結果や成果は同じなのに、肩に力が入りすぎて疲労度だけは強くなる、という感じになります。

もし、自分自身にかけているプレッシャーや怖れのようなものを少し手放すことができるとしたら、やってみたいでしょうか?
感情や感覚を感じているのは自分自身ですが、それらを作り出しているのも自分自身です。
完全に消えることはないとしても、もし、少しだけでも手放すことができるのだとしたら、やってみたいと思えるでしょうか?

ちょっと準備をしてもらいたいのですが、といっても、大したものではないのですが、小さなメモ用紙を何枚かとペンを用意してください。メモができるものであれば、例えば、付箋紙でもOKです。あと、ゴミ箱、というか、捨てるところも用意してください。この時点で何をするのかピンとくる方もおられるかもしれませんが、準備ができたら、自分の心の中を整理してみて、自分が今感じている苦痛を作り出していると思えるものを、1枚の紙に1つずつ書いていってください。

例えば、シンプルなものだと、こんな感じです。書く内容は苦痛を生み出していると思えるものなら、何でも書いてみてください。
「周囲からの期待」
「漠然とした不安感」
「職を失うことに対する怖れ」
「成果をあげなければならないというプレッシャー」
「お金がない」

心の中を整理していくなかで、ちょっと具体的なケースも出てきたとして、それを書くとしたら、こんな感じかもしれません。
「XXさんからは良い印象を持ってもらっとかないとまずい。」
「目標設定をした内容よりも、ちょっと上を、ちょっと早めに達成しておいた方が安全。ぎりぎり達成だとやばいかもしれない。」
「年下のXXXに舐められるような仕事ぶりをしていると、思わぬ突き上げをくらうことになりそう。」

心の中を掘り下げてみて気づいたものを書き出すのなら、こんな感じかもしれません。
「自分は能力の低い人間だから、常に100%以上の力を発揮することを心がけて、常に反省しておかないといけない。」
「雇ってもらった恩を返さないといけないのに、十分な仕事ができていなくて、申し訳なく思っている。」
「人付き合いそのものが苦しい。人が怖い。」

苦痛を感じていることについて書いていくと、たくさん出てくることもあるかもしれません。たくさん出てくるようなら、出てくるのにまかせてどんどん書いていってください。形にして書くだけでも、心の中にあるものを外に出していくことができるだけでも、少し楽になれることがあります。書いていく中で、改めて、ピンポイントでこれがネックだなという気づきが出てくることもあるかもしれません。

一通り書いたら、その中の一つを手にとって「私はこれを手放します。」と心の中でつぶやいて、その紙を捨ててください。1つ終わったら、その次のものを選んで、またそれを手放す。それを繰り返してください。手放すというのは、今だけ一旦その考えを手放す、ということであり、永遠にさよならする、ということではないです。今、一旦、手放してみてください。そこで何を感じるか、自分の心の動きに注目してください。すごく手放すのに抵抗を感じるものもあれば、抵抗感をあまり感じることもなく手放せるものもあると思います。

抵抗感のあるものほど、自分の中に深く根付いているものです。それを自分のなかに持っておいた方がいいのかどうかはおいといて、ひとまず、今は一旦手放す、ということをやってみてください。本当に大切なものであれば、この手放しのエクササイズを一通り終えてから、でもやっぱり、と心の中に復活させてあげてください。ただ、今は一旦手放してみてください。手放すことで、手放した後どんな風に感じるのかを体験してみてください。

手放してみて、現実生活の中で、何か行動を帰るとしたら、何か新しいことを始めるとしたら、何かやめるとしたら、どうするのか考えてみてください。直感的に、もうこれやめた方がいいかも、と思えることはやめてあげてください。苦痛がでてきているところには、必ず、あなたにとって本当に手放した方がいいものがあり、それを手放すことで、あなた自身が楽になれるだけではなく、前に進むことができる要素があります。

この手放しのエクササイズを、そのためのきっかけにしていただければ嬉しいです。

あなたに苦痛を与えている思考よりも何よりも大切なのが、自分はどうしていきたいのか、という部分です。
例えば、どんな人生を歩みたいと思っていて、例えば、最終的にどんな風に命を終えることができたらいいな、と思えるでしょうか?
最期を笑って迎えたいという人もいれば、たくさんの人に囲まれながら旅立ちたいと思われる人もいるかもしれません。成し遂げたいことを成し遂げてから、満足感を感じながら最期を迎えたいという方もおられるかもしれません。
あなたは、どうしたいでしょうか?
自分自身の人生を謳歌するために、どうしていきたいでしょうか?
やりたいことをしていくために、今できることは何でしょうか?
怖れやプレッシャーに耐えられなくなって苦痛を感じている時に、手放した方がいいものが何で、手放した先に、目指したいものがあるとしたら、それはどんなものでしょうか?

苦痛を感じている時というのは、何かをやりたいという気持ちが落ちていたり、ただ、楽になりたいということばかりが頭を埋め尽くしていきやすいかもしれません。ただ、そこをクリアしていくためには、まず手放すことがスタートになります。

ここに書いたことで、何かしら役立つものがあれば、一つだけでも持って帰ってもらえれば幸いです。

 

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