職場や家庭の中などで、自然と自分が受け持つことになる役割があるとします。例えば、母親としての役割だったり、上司や部下としての役割だったり、あるいは、パトナーとしての役割、というものもあるかもしれません。
自分自身が選択して行動しているというよりも、その役割の中で、義務としてやるべきだからやっている、という感じばかりになると、楽しさのようなものがなくなっていきます。そこで認められたり感謝されることがあっても、自分自身というよりも、その役割と義務の部分が認められている感じになりますので、嬉しさを感じるというより、別に何とも思わないという感じに近くなりやすいかもしれません。
ちょっと極端な例かもしれませんが、例えば、付き合っているときに、お弁当を彼氏に作るのが楽しかったとしても、結婚してから、奥さんとしての役割の中でお弁当を旦那様に作るのは、だんだん楽しくなくなっていくかもしれません。愛があるから作っているというよりも、義務感だけで作っている感じが強くなっていく、という感じです。
役割に生きると、自分自身が受け取れる部分が少なくなります。
役割なのだからやらなければならない、という部分はあるのですが、義務と役割を手放して自分の選択で行動する、というように変化させていくことができると、受け取れるものが変わってきます。義務と役割を手放す、というのは、その役割でやってしまっている自分の心の中にある、どこか犠牲しているような、仕方なくやっているような感覚の部分を手放していく、ということです。
やらなくていいのなら、もうやりたくない、というのは正直あるかもしれませんが、そこで、やりたくないのに、やらなければならない、と思っている犠牲の部分の下にある、自分の感情に触れてみてください。
何かそこで、本当はやらなくてもいいことをやってしまっていたり、無理して完璧にやろうとしているような、何かバランスが悪いような部分があるのなら、その部分を手放していく、ということが求められてきます。
過去に決めたことや、過去のある時点においては最適に近しい選択だったとしても、状況の変化に応じて、やっていることややり方を少し変えた方が良かったりすることって、掘り下げてみると意外と出てきます。同じことの繰り返しに執着するあまりに、頑張らなくても良いところで、頑張りすぎている部分があるとしたら、そこに使っているエネルギーがちょっともったいないです。ちょっとした無駄の積み重ねが、重荷となって自分に負荷がかかっているのだとしたら、そしてその重荷を下ろしてあげても成果は変わらないのだとしたら、どれを下ろしても問題ないのか、を見つめてみた方がよいです。
その義務と役割を背負うことになった、自分の考え方や価値観の部分を整理してみて、手放せるものは手放してみてください。
もし、整理したうえでもやっぱりやった方がいいと思えることであれば、その、やった方がいい、と思っている部分と、やりたくない、と思っている部分の中で生まれている葛藤の部分を見つめてみてください。
だって、めんどくさいんだもん、って思っている部分です。やった方がいいってわかっているのに、心の中で、駄々っ子ちゃんになってしまっている部分です。
そこで、その駄々っ子っちゃんを無理やり黙らせる、というより、その子の声に耳を傾けてみてください。それは、いつも自分に犠牲ばかりさせていて、全然、自分に楽さを与えていない、というメッセージが自分の内側から出てきているのかもしれません。
いつも頑張っている自分のことを認められていないのかもしれません。なんで私ばっかりって、怒っちゃっている部分もあるかもしれません。
その駄々っ子ちゃんの部分の声に耳を傾けて、まるで子供をあやすかのように、その駄々っ子ちゃんの部分を充分にケアしてあげてみてください。その駄々っ子ちゃんは、自分自身です。自分なのだから、どうしてあげればいいのは、よくわかると思います。
その子を十分ケアしてあげることができたら、次に、その子に、自分がやったほうがいいって思っている部分について、協力してもらうよう頼んでみてください。無理やりやらせる、もしくは、その子の声を無視して義務感でやる、というのはいつもやっていることなのかもしれませんが、ちょっとそのやり方を変えて、その子が受け入れやすいように心の中で頼んでみてください。
そこでその子に、うんわかったって言ってもらえると、心の中の葛藤が軽くなります。そうすると、役割の中で行動するのではなく、自分で選択して行動する、という感じになっていることが感じられると思います。そういう風にできた方が、同じことをするのでもより楽に行動できます。
役割の中で行動していて、全然楽しくないときにはこの一連のプロセスを試してみて下さい。最初はちょっと時間がかかるかもしれませんが、もし、そこで受け取れる楽さを何かしら感じてもらえるのなら、なんて思っています。