自己否定が強くて辛い方の場合、自分自身を縛っているその自己否定の裏に、執着心が隠れているというケースが多々あります。その自己否定への執着を手放すことが、自己否定を和らげていくための鍵になってきます。
【目次】
・はじめに
・自己否定の心理
・執着しているもの
・自制心
・自己否定を手放す
・最後に
はじめに
ついつい自己否定をしすぎて辛い、という方はおられるでしょうか?
昔に形作った自己否定が自分の考え方のベースになっていて、今でもその自己否定癖を引きずってしまう、というのはありがちなことかもしれません。人によっては、親から自分否定的なことを言われることが多かった、という方もおられるかもしれませんね。
向上心がいきすぎて自己否定に繋がっちゃう、という人も中にはおられるかもしれません。自分はまだまだだ、と自分を追い込みすぎるあまり、それが自己否定につながってしまう、といった感じです。
自己否定が強いと、自己防衛がすごく強くなります。心のなかで自己否定をしていて、自分で自分を攻撃をしているような状態があると、誰からも何も言われていなくても、常に攻撃される可能性を警戒しているかのような心理状態になるので、ちょっと人から何か言われただけで、すごく傷ついてしまう、とか、キレやすい、といったことが起こりやすくなります。相手側には全く否定的なことを言ったつもりがなくても、まるで攻撃されているかのように感じやすい、といったことが心の内側で起きたりします。
自己否定が強いと、褒められても素直に受け取ることが難しくなったりもします。見てくれる人はちゃんと見てくれているもので、自己否定が強くても、人から認められたり、尊敬されたり、価値を見られたり、といったことはあるものなのですが、自分がそれを素直に受け取れない、という心理の罠にハマってしまうというのも、自己否定が強い人にありがちなことかもしれません。
自己否定にはこういった色んなデメリットがありますので、この自己否定をしている自分自身が嫌、と感じられる方もおられるかもしれません。ただ、自己否定をどうにかしたい気持ちがあっても、どうしたら良いのかわからない、というので、お困りの方もおられるかもしれませんね。
自己否定の心理
心のなかにあるどんな言葉で自分を否定しているでしょうか?
私達は誰しも人間なので完璧ではなく、不完全なところや欠点や弱点を抱えています。ただ、それがあったからといって、みんないつも自分を否定しているのかというと、そんなことはないと思います。不完全でも欠点や弱点があっても、ニコニコ笑って幸せに生きていくことができるのも、人が持つ性質の一つかもしれません。
ただ、自分自身の不完全なところや欠点や弱点に、あえて意識的に目を向けて、自分のどんなところがダメかを常日頃から気をつけるようにするとどうなるかというと、まあ、あまり良い気分はしないわけです。誰しもあえて探せばそういうものは何かしら出てくるでしょうし、そこで見つかったものを常に頑張って意識するようにしておけば、たぶん自然に自己否定を感じることができると思います。
自己否定が強い人、というのは、このダメな部分を頑張って意識する習慣が身についている人、という言い方ができるかもしれません。自己否定が強い人=ダメな人、というより、自己否定が強い人=自分のダメなところが気になり過ぎて良くない気分になりやすい人、という言い方ができるかもしれません。
ただ、自己否定が強い人の場合、自分がそういう心理状態になっているんだなと認識するというより、自分はダメな人間だと認識していると思います。まずは、その認識ズレを少し調整したほうが良いかもしれません。自分がダメな人間だから自己否定が強いのではなく、常に自分のダメなところを意識しているから自己否定が強いのだ、という自分の心理状態を俯瞰できるように、です。
案外、自分のだめなところを、どなたか親しい人に相談して(親しくない人や、あなたにいかにもダメ出ししそうな人は選ばない方が良いですが)、自己開示して話を聞いてもらって、
「こんな自分はやはりダメな人間だろうか?」
と聞いたら
「そんなことないよ。」
という答えがもらえるかもしれません。親しい人であれば、基本的にはあなたの価値をみているはずなので、よっぽどのことがない限りそういう感じのリアクションになるとは思いますが(色んな方がいらっしゃいますので、残念な例外があるケースは否定しないです)、ただ、その「そんなことないよ」が自分の心の中にすっと素直に入ってくるかはまた別の問題で、そこが受け取れない、というのが自己否定が強い人にとって重要なポイント、と言えるかもしれません。
自分にダメな部分はあるとして、そこを気にしすぎているマインドを手放すこと。それが、自己否定を手放す、ということです。人から認めてもらったり、尊敬をされたり、価値を見てもらったときにすら、ひょっこりと顔を出す自己否定を、
「ダメなところもあるかもしれないけれど、なかなか自分にも良い所があるのかも。」
と、自己否定の心理からちょっと距離をとって、自己を認めて受け入れる心理に一歩近づいてみること。
自分のダメな部分をダメな部分として認識するのはOK。ただ、それを気にしすぎないこと。自分のダメな部分についつい目を向けてしまうその執着心を手放す、ということが大切です。
執着しているもの
特に気になる自分のダメな部分って、どんな部分でしょうか?
特に気になるということは、そこに執着する意識があると思いますが、どうしてそれがそんなに重要で気になることなのかについて、少し疑問を持ってみてください。
「それってそんなに重要?」
と自分に問いかけてみたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?
自分自身や周囲の人達を幸せにしたり、喜ばせたりできる思考や心理。それは大切であり、維持したり育てていきたいマインドだと思います。その反対に、自分自身や周囲の人達を苦しませたり、悲しませたりする思考や心理。それは大切と言うより、ちょっと見直してみたほうがよいマインドかもしれません。先程、
「それってそんなに重要?」
と自分に問いかけたその部分は、どちら寄りのマインドでしょうか?
可能なら、その自己否定を誘発する心理から、ちょっと距離を取る勇気を持ってみても良いかもしれません。
自制心
罪悪感があるために、自己否定を使って自分自身を戒める、というマインドが生まれることもあります。自分の内側に怠慢・わがまま・いいかげん等々のネガティブな部分を感じたとき、そういったものが表に出てこないように自己否定して、自分自身をコントロールする、という感じです。
自分の感情や欲望や邪念などにうちかつことを、克己、なんて言い方をしたりしますが、克己のためとはいえ、そこに罪悪感や自己否定がある場合、結果的に自分自身が苦しくなる、というケースがあります。克己に必要なのは、目標設定や、全力でコミットメントすること、自分にあった良い習慣を取り入れるということ。自己否定して自己を戒めるというのは、あくまで手段であり、選択肢の一つなので、自己否定をしすぎて辛さを感じている方は、「自己否定して自分自身を戒める」という手段は避けた方が良いかもしれません。
自己否定することなく自己を戒めるには、自分自身の心の動きを理解して、セルフコントロールのやり方を選択肢として複数持っておいて、状況に応じて使い分けた方が良いかもしれません。いくつか例をあげると、自分の中に弱さや甘さがあって、やった方がいいことがちゃんとできない、というときに求められてくるのは、「できない自分を責める」というより「コミットメント」です。継続できないときに求められてくるのは「継続できない自分を否定する」というより「習慣化」です。不注意で同じミスをしているときに求められてくるのは「同じミスを繰り返す自分を責めて、ものすごく注意するようにする」というより「同じミスをする原因を自己分析し、再発防止策を検討して実行する」です。
求められていることをするために「自分を責める」あるいは「自己否定」をきっかけにするというやり方はあるとは思います。ただ、それらをしなくても、求められていることが実行できるならOKですし、自己否定が強くて辛い場合には、「自己否定」とは違うやり方を模索しても良いと思います。
自己否定をせずに、それらの求められていることを実行しようと思うときに大切になってくるのは、「何のためにそうするのか」という目的の確認であったり、「どうしてやりたくないんだろう」という内面を見つめて心の中で踏んでいるブレーキを外すということだったり、「やりたい」というモチベーションを上げるということだったりします。いくつか例を書きましたが、自己否定をして自分自身を戒めなければならないと感じている人にとって、
自己否定をしなくても、成長して前に進んでいくことは十分可能なのではないか、という可能性を感じてもらえるならありがたいです。
自己否定を手放す
自分のダメな部分についつい目を向けてしまう、その執着心を手放す準備はできそうでしょうか?
基本的に、執着というものは手放すことができるものです。「ダメな部分に目を向けたらダメ!」と自分を抑制するのではなく、ちょっとずつ目を向ける頻度を減らす、目を向けても少しずつそこへの関心が薄くなる、ダメな部分を見て精神的なダメージを受けることがあってもあまりひきずりにくくなる、といった変化を受け入れる、という心の準備です。執着を手放す準備はできそうでしょうか?
もし、自己否定への執着を手放したいなら、こう自分に問いかけてみてください。
「執着を手放すことができるか?」
直感でYes/Noで答えたら、次に自分にこう問いかけてみてください。
「執着を手放すか?」
直感でYes/Noで答えたら、最後に自分にこう問いかけてみてください。
「いつ執着を手放すか?」
以下に誰にでもできる執着を手放す方法を記述しています。執着を手放す準備ができたら、一度、試してみてください。
※「手放すことができるか?→Yes/Noで答える。手放すか?→Yes/Noで答える。いつ手放すか?→答える。」の部分はセドナメソッドを使っています。
最後に
自己否定を手放す、というテーマで私なりに掘り下げて書いてみました。執着というのは心の中に芽生えやすく、何かしら心の内面に課題がある場合、その裏には執着が隠れていることが多いのですが、自己否定が強くて辛い方の場合、自分自身を縛っているその自己否定の裏に、執着心が隠れているというケースが多々あります。その自己否定への執着を手放すことが、自己否定を和らげていくための鍵になってきます。
どんなときでも、自分が自分の味方になってあげてください。自己否定が強い人の場合、自分を責めすぎてしまうことがあると思います。ダメなところがどうしても気になってしまうかもしれませんが、それでも自分なりに良くやっている部分を、あなたなりに認めてあげてみようとしてみてください。自己否定ばかりしてきて辛い中でも、よくやっている自分を認めてあげようとしてみてください。
ここに書いたことで、何かしら役に立つところがあるのなら、幸いです。