人を助ける、ということ

投稿日:2012年4月5日      更新日:

困っている人や、悩んでいる人がいて、
その人を助けてあげたい、
という想いを持つことはあると思います。

私も心理カウンセラーをやっていて、
そういう想いは湧き上がってきますし、
だからこんなことをやっている、という一面もあります。

ただ、その時に忘れてはいけないことがあります。

その人が困っていたり、悩んでいることは、
その人のための問題なので、
誰かが代わりに解決する、というものではない、
ということです。

これは、助けられない、という意味ではないです。

その人がそこを乗り越えられるように、
周りの人たちにできる関わり方、というのは、たくさんあります。

例えば、ただそばにいて見ていてあげる、ということもそうですし、
その人が取り組んでいる課題に関して援助したり、
もし、何か知恵を持っているなら、それをアドバイスという形で与えたり、
その人の見本になってあげたり、応援してあげたり、などなど、
周りの人にできることはたくさんあります。

ただ、あくまでその課題に向き合うのは、本人です。
行き詰まりがあるなら、そこを乗り越えていくために、
歩いていくのも、本人です。
不安や恐怖を感じていたとしたら、
それに打ち勝つ勇気を持つことが求められるのは、本人です。

その人がいくら苦しんでいても、
代わりにその苦しみを負担してあげることはできないですし、
その人がいくら課題をクリアできなくて頭を悩ませていても、
代わりにその課題をクリアしてあげることはできないです。

現実的、表面的には、課題をクリアにしてあげる、
ということは可能かもしれません。

例えば、物理的な援助によって。
そういうケースも実際にあるとは思います。

ただ、心の内面にある課題については、
本人がやらないと、解決になりません。
外科手術のように、誰かが心の中にメスを入れて、
患部を切除する、なんてことは、できないんです。

仮にもし、できたとしても、それは、根本的な解決にはならないです。
なぜなら、その課題は、その人のために用意されたものだからです。
形を変えて、再び同類の課題が、その人の目の前に現れます。

そのときに、その心の外科医がそばにいなかったら、
その人はどっちみち、自力でその問題に立ち向かわなければならなくなります。
24時間その人の面倒を見れるのは、その人自身だけです。

私たちにできることは、助けること、ではないです。
どんなに能力があり、知恵があり、精神力があったとしても、
できることは助けること、ではなく、援助すること、です。
これは、心理カウンセラーでも一緒です。

ただ、ここを勘違いしてしまって、
「助けてあげられない」ということに
罪悪感を感じてしまい、
それが心の中で大きな痛みとなっていることがあります。

そんな痛みが心の中にある、ということはないでしょうか?

もし、その答えがYesであったなら、
もう、これ以上自分を責める必要はないですよ。

そのことで自分を責めている人ほど、
もっと自分はできたはずだ、ということを感じていると思います。

ただ、それは、助けられなかった、からダメ、
ということではないです。

その痛みは、あなたの可能性を示しています。

それは、あなたには、人を援助するための才能を
もっと伸ばすことができる、というサインです。

助けられなかった、ということばかり見つめて
自分を責めることを手放してみてください。

その代わりに、その自分の才能を発揮して、
周りにより良い影響を与えていくことができるとしたら、
どんなことをしていきたいだろう、って考えてみてください。

それが、その痛みを抜けていくための道しるべになります。

関連記事

熱意が萎えてきた代わりに絶望感がでてきたとき

    熱意が萎えてきたときは、その熱意をブロックするものが心の中にありますよ、といった話を以前ブログの記事の中で書きました。 心鈴泉-心理学とカウンセリング2019.10.22熱 …

屈辱的な思いを感じたとき

屈辱感が示す事。それは自分が否定的な扱いをされる存在である事にある程度同意した結果、自分の尊厳に自分が傷をつけたという事。なぜ私はその否定を否定しなかったのか?その答えはとても大切かもしれません。 自 …

自分で自分のことが認められない時

自分のことをあまり好きじゃなくて、自分で自分のことをあまり認めるようなことがない、という方はおられるでしょうか? 若い頃はそうだった、という方もおられれば、大人になって結婚して子供ができても、まだまだ …

どちらかを選ばないといけないけど、どうしたらいいの?

自分の前に欲しいものが2つあって、その両方を手に入れることができないように思える時に、どちらを選んだらいいのかわからない、といった迷いのようなものが生まれることがあります。どちらも諦めるのも、もったい …

承認欲求にしばられてしまう

承認欲求が強いと、他人の評価や認められることを気にするあまりに、精神的に不安定になりやすく、ストレスを溜めやすくなることがあります。他人からどう思われるか、というのは、完全にはコントロールできないもの …

カテゴリ-心の悩み

執筆者:

おすすめ記事




イライラしてる人との接し方




雑に扱われていると感じたらーその対処法と人の心理




馬鹿にされてる気がするときの心理とその対処方法




人を試すようなことをしてしまう




体が言うことを聞かないときの心理とその対処法




責められてる気がするときの心理とその対処法




好きな人を忘れる方法




屈辱的な思いを感じたとき




一人で頑張ってしまいがちな人




人から評価されたくない




裏切られた心の傷ー信じていた人に裏切られた時




特別な存在になりたい、という心理の扱い方




人から嫌われてるのが辛いとき




利用されたと感じた時




昔の嫌なことを思い出す心理とその対処法




依存的な人を遠ざけたくなる感情