特別な存在になりたい、というとき、心理的には、強い承認欲求のようなものがあったり、何か特別さをもっていないと自分には価値がないと感じてしまったりすることで、状況によってはストレスや辛さを感じることもあるかもしれません。ただ、こういった心理は、人によって差はあるものの、ある程度ならば誰しももっているものかもしれませんね。
【目次】
・はじめに
・自分のことをどう扱っているか
・特別な存在になりたい、という心理
・自分の価値に関する判断
・価値を受け取る
・最後に
この記事の中では、そんな、特別な存在になりたい、という心理の扱い方について書いていきます。以下に動画もアップしております。文字を読むよりも動画で、という方はこちらをどうぞ。
はじめに
この、特別な存在になりたい、という意識は、自分と人とを比べて、自分は人とは違う、と言いたいというところから来るので、ある意味では、自分と周囲の人とを分離するような、つながりを断ち切るかのような性質も少し持っています。そのため、ここから孤立感や寂しさが生まれてくることもあります。
その反面、人から認められたい、といった承認欲求のようなものともつながっています。自分は違うからと周囲の人を遠ざけておきながら、その人たちから特別な存在として扱ってもらいたい、といった心理が出てくることもあります。自分は特別だということを周囲に発信したい気持ちが言動に出ることもあるかもしれません。
仲の良い人や、恋人から特別な存在だと思われていたら嬉しいけれど、実際のところ本心はわからないし、何か安心できるような形あるものがあるわけでもないので、不安を感じてしまう、という方もおられるかもしれませんね。その相手にとって自分がそれほど特別な存在ではなかったとしても、そのことを認めたくなかったり、そこから、相手にとっての特別な存在になりたい、という強い欲求がでてくるパターンもあるかもしれません。
ちょっと厄介な性質を持つ、特別な存在になりたい、という心理ですが、ある程度であればみんな持っているものと言えるかもしれません。ただ、特別な存在になりたいという想いが強すぎると、状況によってはそのことで辛さを感じる方もおられると思います。今回は、その心理の取り扱い方、というところを少し掘り下げて書いていこうと思います。
自分のことをどう扱っているか
あなたは、自分自身のことをどんな風に扱っているでしょうか?
人からどんな風に見られているかは気になるけれど、自分自身が自分のことをどう見ているかは、あまり重要視することがない、という方もおられるかもしれません。
潜在意識の中では、人からどう見られていると思っているか、ということと、自分が自分をどう見ているか、ということは密接に関係しています。自分が自分のことを「こういう感じだ」と思っているように、人からも見られるのではないか、と感じるからです。例えば自己嫌悪が強い人の場合、本当の自分を知ったら人から嫌われるのではないか、と感じたりもします。
特別な存在になりたい、という心理
心の奥の方には、自分で自分の価値を知っているような部分があります。ただ、様々な経験を通して、それを否定するような思考も同時に心の中に作り上げられています。例を挙げるとこんな感じです。
・大切な人から愛情をもらえなかった。→自分は愛される価値がない。
・自分が認める人から否定された。→自分は人から認めてもらえるような人間ではない。
・頑張ったけど結果につながらなくて、実力不足を感じた。→自分には才能がない。
自分で自分の価値を感じたいけれども、こういった思考があるために、その価値を感じることができない、となったときに、その経験やマイナスの思考を帳消しにできるような、何か特別なものを求める気持ちが出てきます。自分が特別優れているということを何とか証明したい、という欲求が強くなるほどに、特別な存在になりたい、という意識が強くなります。
マイナスの思考が強すぎるあまりに、まるで自分には生きる価値がないかのように感じる方もおられるかもしれません。特別な存在であるということが証明できたら、そんな自分にも生きることの許可がもらえるような、そんな気持ちになることもあるかもしれませんが、そうすると、特別な存在になりたい、という欲求が強くなるかもしれません。
自分で自分の価値を知っている部分とつながることができれば、特別な存在になりたい、という欲求は手放すことができます。自分の価値を否定する思考がその邪魔をしてきますので、その思考を手放すことが、自分の価値を知っている部分とつながるためのカギになってきます。
自分を否定する思考を手放して、自分の価値を知っている部分とつながること。それができれば、特別な存在になりたい、という心理にとらわれなくなっていきます。
自分の価値に関する判断
私たちには何かしら欠点があり、完全ではないです。何か悪いことをしたつもりがなくとも、人間関係でトラブルが起きてしまうことはありますし、何事もうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。それらの出来事自体は自分の価値を否定するものではないのですが、その出来事から自分の解釈で「私には価値がない」と判断をしてしまうことはあると思います。このとき心の中では、自分で自分の価値を下げる、ということが起きています。
特定の人から愛されなかったからといって、自分の価値が下がるわけではないです。何かに失敗したからといって、自分の価値が下がるわけではないです。誰かがあなたのことを見下したとしても、あなたが、その見下されるに見合った価値しか自分にはない、ということに同意しない限り、あなたの価値が下がるわけではないです。ただ、自分で自分の価値を下げることができる、というだけです。
自分の心の中を掘り下げてみて、自分を否定する思考にどんなものがあるか見てみるとしたら、どんなものが出てくるでしょうか?
どんなものであれ、それは絶対的なものというより、自分自身で決められるものだ、ということに気付くことができたら一歩前進です。
自分の価値に関する判断は、自分自身に主導権があります。もし自分に主導権がなく、誰かから何かを言われて価値が決まる、ということであれば、そのコントロールできない何かに自分の価値がゆだねられることになりますので、自分の価値がとても不安定になりますが、もし、そう思っているなら、それは誤解です。何か出来事が起きた時に、自分の価値に関して行われる解釈は、主体的に自分自身が決めることができるものです。
自分を否定する思考が強くて、そこに苦しみを感じているのならその思考を手放すこと。自己否定のメッセージが強すぎると、自分に価値があると感じることが全くできなくなります。自分で自分の価値を知っている部分は心の中にあるのですが、自己否定のメッセージが強すぎると、自分の価値を感じることができる感覚がかき消されてしまいますので、もし、そういった自己否定が強い部分があるのなら、そこを手放すことが大切です。
自分を否定する思考は、過去に行ってきた思考の積み重ねで作り上げられており、自分の心の中に深く根を下ろして、完全に馴染んでしまっているものもあります。自分を変えるということは、それがどんなものであれ、大なり小なり抵抗感を感じることがあるものですが、思考を手放すときも、そういった抵抗感がでてくることがあります。
抵抗が強い場合は無理やり手放そうとするより、その抵抗感を認めてあげる方が上手くいきます。抵抗感を認めることができたら、抵抗感を手放す。抵抗感を手放せたら、自分を否定する思考を手放す。といった感じでステップを踏む方が、心の中に深く根を張っていたネガティブな思考をスムーズにはがしてあげることができます。
価値を受け取る
自己否定を手放すだけではなく、自分自身の価値を見ていく、という部分も大切です。
自分の価値を思い起こすためには、セルフイメージをあげること。そのためには、充実感があったり、好きなことをしていたり、何か楽しみを感じているものを取り入れること。そういったものがある方が、自己肯定感をあげやすいです。自分自身に価値を感じるということは、自分自身を好きである、ということ。充実感があったり、好きなことをして楽しんでいる自分自身を好きである、ということ。
今を楽しむために自分がやりたいことって何だろう、って考えてみたら、どんなものが思いつくでしょうか?
楽しそうだな、ってちょっとでも思えることなら何でもOKです。充実感を感じるために、何か新しいことにチャレンジするのもいいかもしれません。何かふと気になったものがあるのなら、スマホで検索してみるだけでも、心が動き出すかもしれません。直感を使って何かひらめいたことの中で良さそうなものを選ぶというのもいいかもしれません。
大切なのは、今を楽しむ、ということ。自己否定をしながら今を楽しむというのは、心の動きとしてはちょっと不自然ですが、今を楽しみながらそんな自分自身のことが好き、というのは心の動きとしては自然です。今を楽しんでいる状態と、自分自身が好きで自分を肯定している、というのは心理的に結びつきやすいです。
あと、これはあくまで手段の一つですが、心から愛するパートナーと出会い、その人から自分が愛されるという体験を通して、価値を受け取る、という方法もあります。愛する人から愛されるという体験は、自分を否定していた思考を解きほぐして、自分の価値を受け取る、ということをするための大きなきっかけになります。
自分が価値を感じる何らかの成果のようなもの、に向けて本気で取り組む、というのも一つの手段です。本気で取り組んで成果を上げれたときにも、自分を否定する思考を解きほぐして、自分の価値を受け取る、ということをするためのきっかけにできます。
最後に
特別な存在になりたい、という心理の扱い方について掘り下げて書きました。特別な存在になりたい、というとき、自分の価値を低くみている心理が隠れていることがありますが、自分の価値は主体的に自分が決めていますので、まずはそれに気づくこと。次に、どう価値を感じているか、が問われています。
私自身は、どんな人も存在しているだけで価値がある、という考え方をしていて、それを自分自身にも当てはめています。仲間や家族や恋人がいて、そのつながりのようなものから、自分自身の価値を感じている、という人もいらっしゃると思いますし、仕事を通じて自分の価値を感じるという人もいると思います。人それぞれ自由に、価値を感じている状態があって、それが自分自身にとってしっくりくるものであれば、何でもよいと思います。
承認欲求が強いことから、自分の価値を認める、ということがとても難しいという方もおられると思います。承認欲求に心が縛られている辛さから抜け出せるのならば抜け出したい、という想いを持たれる方もおられるかもしれませんが、その承認欲求について掘り下げた記事がありますので、こちらを見ていただければと思います。