人との比較をしてしまうときの対処法

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人との比較をしてしまうときの対処法は、一言でいうと、選択と手放し、です。人との比較でもやもやしているときは、心の天秤が、人との比較を手放したくない理由の方に傾いているとき。心の中でしている選択を変えていくということと、比較を作り出している要因を手放していくということが、前に進むための鍵になってきます。

【目次】
はじめに
比較と競争
比較をやめたくない理由
人との比較を手放す
最後に

 

 

はじめに

容姿や能力などで優れている人と自分を比較して、自分が劣っていると感じて苦しい気持ちになったり、キャリアやお金の面で劣っていると感じて、嫌な気持ちになったことはあるでしょうか?

全く関係のない人との比較ではなく、家族、友人、同僚など、身近にいる人と自分を比較したときに自分が劣っているところがあると思えてくると、嫌な気持ちになる、ということはあるものかもしれません。

人は人、自分は自分、という境界線の引き方はあるとは思いますし、ありのままの自分を受け入れる、という選択肢もあるかもしれません。ただ、人の心理として、どうしても人との比較をしてしまって、そこでネガティブな感情を感じてしまう、ということは往々にしてあるものかもしれません。

人と比較して自分が劣っていると感じることから、自分に自信が持てなかったり、劣っているところから自分のあら捜しをして、自分にダメ出しをしてしまう、という方もおられるかもしれません。

 

 

比較と競争

人との比較をして、自分が相手より下かどうかをチェックするという行為。自分の心の平穏を保つためには人より劣ってはいけない、という思考があると、つい人との比較をしてしまうこともあるものかもしれません。ただ、人との比較が心の平穏を保つのに役立つのかというと、どちらかというとそれは自分で自分を苦しる要因になるもので、心理学を語らせてもらうのなら、それは比較と競争から生まれる心理の罠にはまり込んだ状態、と言えるかもしれません。

比較と競争が自分の心の中で癖になっていると、心理的には重荷のようなものを抱えている状態になります。ただ、比較をするのが自分の中で当たり前になってしまっていると、そのことになかなか気づけないかもしれません。人との比較は、素直に自分の価値を受け取ったり、純粋に楽しんだりする、ということを、ブロックするものになります。

例えば、素直に自分の価値を受け取った方が良いときに、あえて「誰かと比べて劣ってないか」というセルフチェックをした場合、少なくとも誰かからは劣っている、ということが判明した時点で、自分の価値がそれよりは低いという解釈が脳の中で行われ、
「自分は大したことないんじゃないか?」
という想いが頭をかすめます。価値を受け取るためには、ある意味では自分よりも下にいる人を探して
「その人よりはまし」
みたいな価値の受け取り方をするしかなくなるかもしれませんし、No.1じゃないもの以外は無意味、という完璧主義にはまりこむかもしれません。比較と競争に心が縛られてしまうと、それは心理的な重荷となって、素直に価値を受け取ることの難易度が上がってしまうことになります。

例えば、純粋に楽しんだらいいときに、あえて「誰かと比べて劣ってないか」というセルフチェックをした場合、楽しむことよりも、上手にできているか、ということが気になり、楽しむことよりも、劣っていないことのほうに意識が奪われるかもしれません。ただ単に、面白さや楽しみを感じればいい場面でも、上手か下手かが気になる状態。周りの人達より上手だったら安心だけど、周りの人達より下手だったらそれを誤魔化さないといけないので不安を感じるとしたら、心理的な安全性を確保することに一生懸命で、楽しむことにパワーが割けなくなります。比較と競争に心が縛られてしまうと、それは心理的な重荷となって、純粋に物事を楽しむことの難易度が上がります。

たとえば競争に勝ったとして、その一瞬だけは優越感を感じるかもしれません。ただ、勝つのが当たり前になってくると、心理的には負けないことが大切なだけで、完璧主義やプライドのようなものが生まれるだけ。そうなると、楽しみや充実感を得られるというよりは、負けちゃだめだという義務感のようなものや、虚しさのようなものを感じやすくなっていきます。楽しみや充実感を得るためには、ただ、自分がやりたいことや楽しいと感じることをすること。そこに比較を持ち込まないほうが、満足感や幸福感は受け取りやすいです。ただ、それでも比較してしまうのが人の心理というものであれば、どれだけその部分を手放していけるのか、というのがある意味では大切かもしれません。

 

 

比較をやめたくない理由

人との比較はその都度手放すことができるもの。ふと頭の中で人との比較をしてしまうことがあったとしても、それはそれとして、それほど重要ではないことととしてみなせれば、心理的に苦しくなることはあまりなかったりします。人と自分を比較したときに、それが自分の精神にダメージをあたえるような性質のものであれば、それを変に重要視しない方が、心理的な安全性は保つことができるのですが、この重要視しない、ということが手放しの鍵になってきます。事実として比較して劣っているということと、その劣っているということが本当に重要なことなのかどうかはまた別の話であり、手放すということは、あまり重要ではないことと認識して、それを頭の隅っこの方に移動させる、ということです。

ただ、人の心理として、比較をやめられない、とか、比較をやめるのは不可能、と思ってしまうことはあるものかもしれません。その場合、比較をやめられない、ではなく、やめたくないとしたらなぜだろう、と視点を切り替えてみると、何か気付けることはあるでしょうか?

本心で望んでいることは心の中では優先されがちですので、もし、人との比較を手放したくないのだとしたら、その理由に気づくことが大切です。もし、手放したくないとしたら、なぜだと思えますでしょうか?
この問いはわりと大切な問いで、本当は手放したくないと思っている、というのは、人の心理として本当によくあることなのですが、この部分を見落とすと、いくら手放そうと思っても手放せないという罠にはまりやすくなったりします。

もし、手放したくない理由が思いつかないなら、ヒントとして、人との比較をやめるとどんなデメリットがあるのか、というのを考えてみても良いかもしれません。
・自分が人より劣っているということに気づけていないと恥ずかしい。
・自分が人より劣っていないという勘違いをしたくない。
・気づかないところで影で人から馬鹿にされたくない。そうならないように人より劣っているところは事前に把握して誤魔化せるようにしておきたい。
・自分で自覚していないことを人から言われるとダメージが大きい。そうならないように事前に自分でチェックしておきたい。

思いついた理由がどんなに突拍子もないような内容だったとしても、不思議なもので心のなかではそれが理由になったりします。そこを言語化することで、自分の心のなかにどんな思考があるのかを認識すると、自分がどういう心理状態だったのかを客観的に理解することにもつながります。

この理由の部分が自分の中では当たり前になりすぎていて、理由ではなく当然のこと、という認識になっていることもあります。比較を手放すためには、当然のこと、という扱いから一段階下げて、理由があってやっていること、という扱いにしたほうが、心のなかでその扱いの自由度を上げることができるようになります。ただ、それには、自分が当然だと思いこんでいて考えもしなかったところにも掘り下げて焦点を当ててあげる必要がありますので、じっくり時間をとって、言語化しようとしてみてください。

 

 

人との比較を手放す

その手放したくない理由は、自分の中で人との比較を生み出している原因、もしくは、比較した結果を重要視している原因、といえるものかもしれません。それがあるために、自分がネガティブな感情を感じているのだとしたら、この2つを心のなかで天秤にかけてみてください。
・手放したくない理由の方が大事か?
・人との比較をすることで感じているネガティブな感情から解放される方が大事か?
自分が本心で望んでいる方がどちらなのか、というのを選択してください。

いくら手放そうと思っても手放せないという罠にはまる、ということを上の方で書いたのですが、人との比較を手放したくない理由を抱えたまま、人との比較を手放そうとすると、心のなかに矛盾のようなものを抱えることになります。人の心理というのは、Aを望みながらも、それとは反対の性質を持つBも望む、みたいなことはわりとありがちなことではあるのですが、このとき少なくとも自分の心の中でどちらを優先するのか、というのは決めておかないと、葛藤に苦しむだけで物事が前に進まない、ということになりえますので、この「選択」はとても大切です。

もし、人との比較を手放すほうを優先する、という選択ができたのなら、こんなことを自分に問いかけてください。問いは3つあります。上から順に即答してください。
・人との比較を手放せますか? -> 「はい」または「いいえ」で答える
・人との比較を手放しますか? -> 「はい」または「いいえ」で答える
・いつ手放しますか -> 直感で答える

人との比較というのは、何かを判断するときの基準となっていたものかと思います。ここで、人との比較を手放すのであれば、その代わりとなるものを決めておいた方が良いです。そういったものがない場合、何か自分の中で価値判断をしたいというときに、代わりのものがないと、また、人との比較、に頼ることとなってしまいますので、人との比較を手放すときには、手放す代わりに受け取るもの、が求められてきます。自分なりに考えてしっくりくるもので、自分にとってプラスとなるものであれば、何でも良いです。直感を使ってぱっと思いついたものでも、それが自分にとってしっくりくるものであればOKです。いくつかヒントを書くとこんな感じです。
・できないことができるようになったら、成長した、ということを単純に受け取って、価値のあることだとみなす。
・他人との比較ではなく、過去の自分との比較をしてみる。
・人との比較でなく絶対評価でよい。凄いと感じたものは凄いし、良いと感じたものは良い。

代わりとなるものが自分の中でしっくりきたら、もう一度上の3つの問いをして、即答してください。もし、人との比較に関してもやもやしていた気持ちが、少しでも落ち着いてすっきりとした感じになるのなら成功です。

 

 

最後に

人との比較をしてしまうときの対処法は、一言でいうと、選択と手放し、です。人との比較でもやもやしているときは、心の天秤が、人との比較を手放したくない理由の方に傾いているとき。もやもやしていることを選択しているのは、自分自身。これは自分がやっていることなので、選択を変えることができるのも、また、自分自身です。人との比較でもやもやするようなことがあれば、その都度、ここに書いたような選択と手放しをやってみてください。

人と比較して自分が劣っていると感じることから、自己肯定感が下がる、ということもあるかと思います。自己肯定感が低いことでネガティブな感情を感じやすい場合、まずはそんな自分を理解することからスタートするのが良いかもしれません。無理に自分を肯定しようとせずに、まずは一旦、自分自身の今の現状をありのままに見つめてみること。詳しくは、以下の記事を参考にしてもらえればと思います。

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