いじめられた記憶について

投稿日:2017年6月15日      更新日:

いじめられた経験がある人もいれば、ない人もいるとは思いますが、いじめの内容や、どのくらい続いたかなど、その経験には個人差が大きいかもしれません。ただ、あまりにも過酷な体験だったために、そのときの記憶がいまでもよみがえってきて、辛い想いをされている方もおられるかもしれません。

私自身は暴力を伴ういじめを受けた経験があり、この記事を書くときに当時のことをちょこっと思い出しつつ書いているのですが、人によっては、いじめに関係した人たちへの怒りや恨みが残っていることもあるかもしれません。いじめられたということを、恥ずかしいと思ったり、もう一度同じことが自分の子供に起こることを想像して、怖れのようなものを抱く方もおられるかもしれません。

過去のいじめられた自分にも原因があったんじゃないか、なんて考えると、すごくネガティブな感覚に陥りますが、その思考の先には、自己攻撃があるので、あんまりおすすめはしないです。もし当時の振り返りをされるとしたら、当時の状況をできるだけ客観的に見た方が良いです。

いじめには構造のようなものがあり、いじめられた人というのは、ちょっとしたきっかけのようなもので、その構造に当てはまってしまった立場の人です。集団の中の構造の話なので、きっかけ次第でいじめられる側がいじめる側に回ったり、その逆もあり得ます。いじめられた人が悪いとか弱いとかどうとかいうレベルの話ではなく、この構造の中に、いじめの本質がありますので、いじめの対処には、いじめの構造を弱体化させたり、その構造から抜け出す、といったことが求められてきます。

ただ、罪悪感が強いと、いじめの構造の中のいじめられる側にすぽっとはまってしまう、という現実を引き寄せやすくなります。そのため、自分がダメだったから、いつもいじめられる側にいた、なんていう感覚を持っている人もいるかもしれませんね。罪悪感が強いわけじゃなくても、きっかけがあってそこに構造ができてしまえば、いじめは起こってしまうものなので、ここはいじめの本質ではないのですが、罪悪感が強いといじめの構造から抜け出しにくくなるので、その対処として罪悪感の癒しが有効なこともあるかも、です。

過去の自分を振り返って、そういえば、罪悪感のようなものを抱えていたかも、と思えるのなら、いじめられた理由(そんな理由で延々といじめられたら、やられる側としてはたまったものではない、という理由)を掘り下げるというより、その罪悪感にはどんなものがあっただろうか、というところを掘り下げるのはアリかもしれません。

いじめられた記憶が、自分の中で整理ができていたり、過剰な怖れや恨みを抱えているわけではないのなら問題ないのですが、その記憶がネガティブな形で今の生活に何かしら影響を出しているとしたら、ちょっと心の中を整理した方が良いかもしれません。

心の中を整理するときには、誰かに話を聞いてもらったり、何かに書いたりする(誰かに見せなくてもOK)のがお勧めです。言葉には力があり、過去の出来事を何かしらでも言葉で表現することで、頭の中でもやもやしていた嫌な感覚を、他の人にも伝えられるレベルにまで落とし込んで、整理することができるようになります。人に話すとその言葉は自分の耳にも入ってきますし、相手のリアクションも見れます。何かに書くという手段を使うなら、文章を読み返すことでその言葉は自分の目から入ってきます。そういったプロセスを通して、より客観的にその出来事を見れるようになります。

そんなひどい仕打ちを受けるほど、自分は悪いことをしていない(とか、そんなこと全くしていないとか)、ということも気付けますし、いじめが起きていたときの人間関係の特殊さにも気付けます。集団心理で過剰にエスカレートしたときの出来事も、客観的に見つめれるようになります。いじめの構造は、ある意味、人の良くない一面を強力に引き出します。少し主題から外れますが、昔いじめっ子だった人が、過去を振り返って、なんで自分はあんなことをしたんだろう、と、ぞっとすることも、もしかしたら、あるかもしれませんね。

ただ、いじめられた経験から発生する、強い恨みや怖れ、のようなものを抱えていることもあると思います。単に整理するだけでは自分の気持ちが収まらないもの、と言えるものかも知れません。

まず、恨み、ですが、これは正論になってしまって非常に申し訳ないのですが、人を恨むと自分もそのことに強くとらわれてしまいます。その結果、自分の人生に暗い影のようなものが差し込みます。相手のことはどうしても許せないとして、相手に強い恨みを持つと、そこに自分のパワーと時間が浪費されていってしまいます。それはものすごくもったいないです。

人を恨むと、そのエネルギーは自分自身にも返ってきます。心になにがしかの影響が与えられ、まわりまわって、それが何かの人間関係に影響したり、体のどこかに良くない影響を与えたりすることもあります。そんなひどい人のために、自分の人生を浪費することになるとしたら、それは可能な限り避けたほうが良いです。

自分に対してひどい仕打ちをした人物が、今後どんな道のりを歩むことになるのかは、天にゆだねる方が良いです。もし、自分自身をその恨みに縛り付けることから解放する、という選択をすることができるなら、恨みに浪費していた自分のパワーと時間を取り戻すことができます。人を恨むことから自分に返ってくる余計なものも避けることができます。

どうしても許せないと思えるのなら仕方ないですし、これは生き方の問題といえるかもしれません。ただ、そのことで自分自身の人生を無駄遣いしたくないと思うなら、手放すという選択肢もある、ということを覚えておいていただければ、と思います。

次に、怖れ、ですが、自分自身の中に、どんな怖れがあるのかを見つめてみる、ということをお勧めします。もし、何を怖れているのかが不明瞭だったとしたら、その状態は怖れを増幅させる、という結果を生みます。この辺りは、以前書いた以下の記事に書いています。記事の内容を簡単に書くと①~③のようなものを実践していく、という感じなのですが、どうしてこんなことをするのか、というあたりは記事な中身を読んでみていただければ、と思います。
①何を怖れているかを明確にする。
②自分はどうしたいかを明確にする。
③今できることをする。 

いじめられた経験は自分の心に強烈な影響を与えます。心の中に傷のようなものができたような感覚が生まれることもありますし、強くその過去に捉われてしまうこともあるものですが、その過去の出来事に対して、自分はどうしたいのか、ということを主体的に選択することは可能です。

もし可能なら、ネガティブな思考は手放すという選択を。同じ経験を持つ人たちに対して、慈愛の心を持つという選択を。そんな風に、私は思っています。

いじめの構造については、以下のものが参考になるかも、です。

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書) 

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

  • 作者: 内藤朝雄
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