学生から社会人になったり、転職や異動をしたり、といったことで、
新しい環境に入っていくというときには、
郷に入っては郷に従え、といった言葉もありますが、
自分の価値観とは異なっていても、その環境の慣習にあった行動を
とることが求められてきます。
それがもともと、自分なりにもっている価値観や判断基準、あるいは、やり方、
といったものと似通っている場合は、
すっとその環境になじんでいくことができますが、
かけ離れている場合は、ストレスを感じやすい状態になります。
ここでは、新しい環境でもとめられる「こうしなさい」「こうした方がいいよ」という部分と、
今まで自分がもっていた「こうしたい」という部分を
自分の中で調和させていくことが大切です。
例えば、周りからの「こうしなさい」というところを優先しすぎて、
自分なりの「こうしたい」ということを完全に抑圧する、ということを選択した場合、
まるで自分がなくなったような感じになります。
一見、そうした方が良いようにも思うことがあるかもしれませんが、
それが通用するのは最初だけで、ある時期を過ぎると、
ただ単に、周りの意見に振り回されているだけ、という感じになり、
あなたはどうしたいのか? どういう考えなのか?
ということを周りから問われたときに、自分の中に何も答えがない感じになることがあります。
一時しのぎで、周りから否定されないような無難な答えを必死でさがしても、
あんまり誤魔化せず、やっぱり何も考えてない、という見方をされてしまうかもしれません。
それとは反対に、自分なりの「こうしたい」の方を優先しすぎて、
周りの「こうしなさい」を後回しにしすぎると、その環境の中で、孤立しやすくなり、
周りからのサポートや助けといった部分を受け取ることがしにくくなります。
「こうしたい」という部分がある、ということは、
その環境の中で、自分がやりたかったこと、も出てくると思いますが、
孤立したような状態だと、それを実現することが困難になることがありますので、
これもあまり賢いやり方ではないかもしれません。
新しい環境でもとめられることと、もともと自分がもっている価値観を、
すりあわせていくときには、どちらかに偏るのではなく、ちょうどよいところ、
というのを自分なりに探していくことが求められてきます。
それがあまりにもかけ離れていると、苦労もあるかもしれませんが、
もし、その環境の中で、比較的、自分の価値観に近そうな人で
(直観的に、この人とは気が合うな、という感じがしたら、高確率でそうです)、
その環境にうまく順応できている人がいたら、
話をしてみると、そのためのヒントがもらえる確率が非常に高いです。
自分がその環境の中で疑問に感じていることを聞いてみても、
共感できる答えをもらいやすいですので、
そういう人を見つける、というのも、お勧めです。
また、自分の知人の中で、自分と価値観が近い人で、
似たような環境に入った人と話をしてみるのもよいと思います。
そこでは、自分が抱えている問題に共感してもらえたり、
自分でも十分実現可能と思える、具体的なアドバイスをもらえることもあると思いますし、
新しい環境に自分の価値観をすりあわせていくときのヒントももらいやすいと思います。
ただ、誰かからのアドバイスを聞いて、その通りにやるだけ、というのはあんまりお勧めできないです。
誰かから話を聞いて、そのとおりにする、としても、
その内容を自分なりに吟味して、自分なりに持っている判断基準や価値観に取り入れて、
成熟させていく、という要素がないと、一時しのぎ、になってしまいます。
大切なことは、新しい環境で自分が動きやすくなるように、
自分なりの判断基準や価値観を成長させる、という部分です。
新しい環境に入った時に、そこでの当たり前と、自分の価値観に大きな隔たりがありそうなときには、
その部分を成長させる、ということにトライしてみてください。