心の中に許せない誰かがいて、その人のことを強く責めていると、
それがまわりまわって、自分自身の人生に影響してくる、という話です。
例えば、家族に対して過去に受けた体験がもとで、許せないという想いを抱いたり、
強い怒りを心の中に抱えていたり、ということがあると、
そこから様々な反応が生まれていきます。
これには色んなパターンがありますが、
例えば、あんな人とは絶対に一緒のようにはしないと思いつつも、
自分自身も似たような行動を何故かすることになり、
そんな自分のことを強く責めたり、自分自身がすごく嫌いになったり、ということがあります。
その反対に、その人とは真逆の性格になるのですが、
同じようなふるまいを自分自身に強く禁じるために、
乗り越えられない壁が出てきて、どうしてもできない、
ということが出てきたりすることもあります。
子供時代から様々な経験を通していく中で、
楽しいこともあれば、つらいこともあると思います。
その中で、とても苦しい体験をしたことがあるならば、
同じような想いをしたくなかったり、同じような想いを誰かにさせたくなかったり、
というところで、その人の考え方に志向性は自然と出てきます。
ただ、そういったこだわりのような部分が、
うまく機能しているならばよいのですが、それが足枷になってくる場面も出てきます。
人間関係の中で、このこだわりの部分が悪影響を及ぼしてくることがあります。
特に、近しい人との関係性の中で出てきやすいです。恋人や夫婦関係で、などです。
子供がいる場合は、自分の子供との関係でも出てきます。
相手に対して、この許せないという部分が出てくると、すごく強い感情が出てきます。
頭では自分自身が感じている感情に、どこかやりすぎというか、
理不尽というような部分があるとわかっていても、
抑えられない感じになります。それだけ、心の中で強くこだわっている部分、であるほどにです。
特に何か問題になっていない場合には、あまりここの部分を意識することはないですが、
ここに関して変化を求められてくる状況、というのは、
自分の中に許せない想いを強く抱いている限り、何度もやってくる、という傾向があります。
自分自身でもそこの部分をクリアにしたい、という想いも同時に、
無意識のうちに持っているためです。
そのこだわりの部分が解決されるために、あえて問題のある状況がやってくる、ということが、
僕たちの人生にはおうおうにして、やってきます。
こういうときに選択できる答えの一つは、許す、ということです。
それができたら苦労しないですが、ここで大切なことは、
その許せない誰かのために許す、ということではなく、自分自身の人生のために許す、ということです。
あるいは、自分自身の大切な誰かのために許す、ということです。
その誰かが許せない限り、自分自身の状況が行き詰ることで、自分自身や、自分にとっての大切な誰かが苦しむ、
ということから解放される、ということがその許しの目的であり、
そう思えるなら、許すということにも意味を見いだせると思えるなら、ある意味では、
長年許せなかった想いを解放していくことで、自分自身の人間の枠を広げるチャンス、ともいえます。
許すのに特別な方法はないです。
心の中で、許す、ということを選択するという、ただそれだけです。
段階を踏むのなら、心の中で自分自身に問いかける、というのも有効です。
「許せますか?」→はい、いいえで答える
「許しますか?」→はい、いいえで答える
「いつ、許しますか?」→答える。
この3つを心の中で繰り返す、ということで、自分自身の中のその許せないというこだわりを解放していく、
ということができます。
もう一つの選択は、許さない、もしくは、この問題をいったんわきに置いておく、ということです。
その許せないという想いが、とても強い想いであればあるほど、どれだけ許しが求められている状況であろうとも、
その一歩を踏み出すことには強い抵抗感を感じるものです。
許した方がいいかもしれないけれども、今はどうしても無理だ、と思うときはあります。
この許しという選択は、今の自分自身の状況を変えていく上で劇的な効果をもたらすものですが、
それだけに、なかなか自発的に取り組むことが難しいものだからです。
これ以外の方法や観点で、今の自分が抱えている問題を見つめてみて、
別の方向から、一歩前に進んでいくための道のりを探す、ということもまた選択の一つです。
自分自身が思考していることが、自分自身の人生を作っていきます。
それは、自分が許せない誰かがいてその人に対して思考していることもまた、
そこには強い影響を与えていきます。それをどう扱うのも自分次第です。
もし、許せない誰かがいて、そこの部分に許しをもたらしていくということに関して、
取り組んでみたいと思えるなら、一度、じっくり自分を見つめる時間をとってみてください。
そこで気づけることはたくさんありますし、
自分自身を大きく成長させることができるチャンスが、そこには眠っています。