Counseling 〜 カウンセリング 〜
その後、愛さんにとって、彼との関係に変化がでてきた。
彼と真剣に向き合おうとしようとするほど、彼は引くし、
頑張れば頑張るほど、相手との距離が開いてくる、ということだった。
カウンセラー「メールでは、本音の部分の話をしたときに、彼がそれを避けようとした、という感じで書いていましたけれども。」
愛さん「なんか、人の中に深く入っていくのは嫌みたいですね。私にも、そういうのは求めていないみたいです。
はっきりとは覚えていないですけれども、そういう感じのことを、前にも言ってたような気がします。」
カウンセラー「もしかしたら、愛さん自身、あんまり本音のところを、話さないですむような相手を選んでいたのかもしれないですね。」
愛さん「そうかもしれません。ただ、彼と話していて思ったんですけれども、もしかしたら、別れた方がいいのかな、って」
カウンセラー「どうしてですか?」
※画像はイメージです。
愛さん「相手が本音を話しやすい雰囲気作り、とか、全然考えられなかったです。全部飛んじゃって・・・・。
なんか、いっぱいいっぱいだったかもしれません。」
カウンセラー「無意識のうちに、愛さんと向き合おうとしない彼のことを、非難するような形になっちゃった、かもしれないですね。」
愛さん「そうなってしまったかもしれないですね。重い女、と思われたかもしれません。」
この後、彼に対する心理分析と、今の状態を良くしていくために、
愛さんが彼に対してやっていくこと、についての話をする。
ただ、それは、愛さんの心の中にある彼に対する非難を手放したり、
彼に対して、こうでなければならない、というこだわりなども、
手放していく必要があり、愛さんにとっては心理的にとても負担の大きいものと思えた。
カウンセラー「愛さんにとっては、これは心理的な負担が大きいかもしれません。
もし、やるのであれば、それでも、彼を選ぶ、というのが大切ですね。ただ、無理にお勧めはしないです。」
愛さん「言われていることはわかりますが、そこまで、彼が好きか、といわれると、そこまでじゃないかもしれません。
ただ、彼のことが好き、という気持ちも嘘じゃないので・・・・。」
彼に対してどうしていきたいか、というので、迷いがあるようだったが、
しばらく話をしていくなかで、
愛さんにとって、彼に対して持っている執着を手放して、
気持ち的にも軽くなれるなら、そうなりたい、という話がでてきた。
カウンセラー「それもいいかもしれませんね。彼に対して攻撃的な気持ちになってしまうのも、
彼に対する執着があるところから出てきている、というのもあると思いますので。
ただ、だからと言って、別れる、というわけでもないのですが、
執着を手放すことで、彼との関係がより上手くいく、というのは、あると思いますよ。」
愛さん「でも、執着を手放すって、好きじゃなくなるっていうことじゃないんですか?」
カウンセラー「好き、イコール、執着、と思っています?」
愛さん「いや、そうは思っていないですけど・・・・。そういう部分もあるのかなって。」
カウンセラー「もちろん、あると思います。ここで大切なことは、好きなまま、手放す、ということですよ?」
愛さん「どういうことですか?」
※画像はイメージです。
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カウンセラー「今から、イメージを使った、カウンセリングの手法を使っていきます。
私が、愛さんに、こういうものをイメージしてください、とお願いしたり、どんな風に感じますか、と聞いたりしながら、
愛さんにとって、執着を手放していけるよう、サポートしていきますので、
まずは、軽く目を閉じて、すこしリラックスしてもらってもいいですか?」
愛さん「はい。」
カウンセラー「まず、イメージの中で彼のことを思い浮かべてもらってもいいですか?
彼はどんな表情をしていますか?」
愛さん「笑っています。出会ったときの、楽しかった頃、よくそういう顔をしていました。」
カウンセラー「イメージの中で、彼の前に立って、心の中で、感謝を伝えてもらっても良いですか?
なんでもいいですよ。感謝できることがあるとしたら、何ですか?」
愛さん「よく相談をしていて、助けてもらったので。
前の彼のことで・・・それは嬉しかったかなって。」
カウンセラー「それを心の中で、彼に伝えてもらってもいいですか?ありがとうって。」
愛さん「はい。」
カウンセラー「イメージの中で、彼の方を向いたまま、彼の前から、一歩離れてもらっても良いですか?」
愛さん「いやです。」
カウンセラー「どうしてですか?」
愛さん「離れたくないです。」
カウンセラー「今、何を感じていますか?」
愛さん「・・・・・・」
※画像はイメージです。
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愛さん「全てを失ってしまう気がして。本当は、もうなくなっているのに、
それを認めてしまうみたいで。それが怖くって。嫌なんだと思います。」
カウンセラー「そうですね。ただ、それは誤解だって気付いてもらってもいいですか?
イメージの中で、彼のほうを見てください。彼の笑顔から、何を感じますか?」
愛さん「優しさ、大切にされている感じ、楽しい感じ、平和な感じです。」
カウンセラー「本当に欲しいものってそれじゃないですか?」
愛さん「・・・・・はい。でも、どうしていいのか、わからなくって。
・・・・ごめんなさい。また・・・・。」
カウンセラー「いっぱい泣いていいですよ。大丈夫です。慣れていますから。」
愛さん「あはは。そうですよね。プロですもんね。はあ・・・。すいません。」
カウンセラー「これは本当に大切なステップなんです。
感情を感じきれないままに、カウンセリングの時間だけ、パッパッと消化してももったいないですので。
今、本当に上手に自分の感情と向き合えていますよ。」
愛さん「そうなんですか。自分ではわからないです。」
カウンセラー「その感情を感じたまま、イメージの中で後ろに一歩、半歩だけでもいいです。
下がってもらって良いですか。
もう一度、あの笑顔の部分、それが自分のもとに戻ってくる、ということを信頼して。」
愛さん「う〜・・・」
カウンセラー「今、葛藤を感じていると思います。それも大切なステップですよ。
今のままでいたい自分と、前に進みたい自分、両方いますよね。」
愛さん「はい。半歩だけさがりました。」
カウンセラー「いいですよ。もう一つ、感謝できることは無いですか?
なんでもいいですよ。」
愛さん「なんだろう・・・。あ、何か腹立つようなことを思い出しました。」
カウンセラー「あはは。それは置いといて。感謝できることです。なんでもいいですよ。」
愛さん「そうですね・・・。小さいことですけど、昔、引越しを手伝ってもらったことがあるので。
重たい家具とか運んでもらって、本当に助かりました。」
カウンセラー「それを彼に伝えてもらって、感謝を伝えてもらって良いですか?ありがとうって。」
愛さん「はい。・・・・伝えました。」
カウンセラー「半歩さがってもらってもいいですか。」
愛さん「はい、下がりました。」
カウンセラー「すっといきましたね?」
愛さん「そうですね。あれ?なんでだろ。」
※画像はイメージです。
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カウンセラー「ただ、それは誤解ですよ。
愛さんにとって、彼を当てにしていたその部分、ある意味では、彼に依存していた部分でもありますよね。
気付いていますか?
愛や幸せは、愛さんのハートの中にあるもので、他の誰も、愛さんからそれを取り上げることはできないものです。
ただ、今、執着を手放すときに、心にあいたその部分に、別のものを呼び込むことが求められてきます。
これは直感で答えて欲しいんですが、仮に、自分に幸せを持ってきてくれるものがあるとしたら、
なんだと思いますか?」
愛さん「え、そうですね・・・・・。わからないです。」
カウンセラー「なんでもいいですよ。あくまで、イメージです。
例えば、友達でも、未来の自分でも。他には、例えば、天使や、神様でもいいです。
何か、愛さんにとって、それを思い起こさせてくれるようなものです。」
愛さん「そうですね・・・・。じゃあ、天使で。」
カウンセラー「イメージの中で、その天使、を思い浮かべてもらってもいいですか?
できるだけ、鮮明に。愛さんにとって、生き生きとした姿で、
目の前にその姿が感じられるように、思い浮かべてもらってもいいですか?」
愛さん「はい」
カウンセラー「今、愛さんのイメージの中で、天使はどんな表情をしていますか?」
愛さん「優しい表情をしています。」
カウンセラー「天使に近づいてもらってもいいですか?」
愛さん「はい。」
カウンセラー「もし、その天使が愛さんに、人を愛する力や、幸せをもたらす幸運を与えたいとしたら、
愛さんは、それを受け取る準備はありますか?」
愛さん「そんなことできるんですか?」
カウンセラー「天使にですか?愛さんにですか?」
愛さん「・・・・私にです。」