ケース その3 「封印していた過去の傷」
Counseling 〜 カウンセリング 〜
カウンセラー「今から、イメージを使った、カウンセリングの手法を使っていきます。
         私が、陽子さんに、こういうものをイメージしてください、とお願いしたり、どんな風に感じますか、と聞いたりしながら、
         陽子さんの中にある痛みの部分が解消されていくよう、サポートしていきますので、
         まずは、軽く目を閉じて、すこしリラックスしてもらってもいいですか?」
陽子さん「はい。」
カウンセラー「昔の彼のことを、陽子さんの心の中でイメージしてもらってもいいですか?」
陽子さん「はい。」
カウンセラー「彼をイメージの中で見て、今、どんな感情があがってきているか、教えてもらっても良いですか?」
陽子さん「・・・・はぁ。
      う〜ん・・・自分の弱さ、です。」
 
カウンセラー「弱さの中に、どんな感情がありますか?
         淋しさでしょうか?愛されたい、という気持ちでしょうか?」
陽子さん「辛さ、です。
      彼と一緒にいる時間、なんか自分が邪魔者?みたいな気がして。
      彼を拘束しているような。ねちっこい女みたいな。
      でも、私も彼が必要だったので。
      彼もはっきりとは言ってくれなかったんで。
      でも、彼も苦しそうでした。
      でも、彼を苦しめているのが私って、あるとき思って、
      それで、すごく嫌になったんです。
      それで、全部嫌になって、彼から離れることにしたんです。」
カウンセラー「彼に伝えたかったけど、伝えきれていないことってありますか?」
陽子さん「彼を責める気持ちと、彼に感謝している部分と両方あって、
      どっちですか?」
※画像はイメージです。
 
_
カウンセラー「彼に感謝している部分の方です。」
陽子さん「ただね、私、彼に言いたいことって両方あるんですね。」
カウンセラー「そうですよね。彼を責める気持ちについて、どんなことを言いたいですか?」
陽子さん「あなたに裏切られてから、私はすごく辛かった。
      あなたも辛かったかもしれないけど、私の方がもっと辛かった。
      それだけは、わかってほしい。」
カウンセラー「陽子さんは、その部分で、自分のことも責めていませんか?」
陽子さん「・・・・。」
カウンセラー「何か、そうですね・・・。
         彼に謝りたいこと、ごめんなさいって言いたいことってありますか?」
陽子さん「彼を責めたい、という気持ちもあるんですけど、私も悪かったなって思う部分はあります。」
カウンセラー「どんな部分ですか?」
陽子さん「私も彼を裏切ったのかなって。
      彼を信じられなかったし、彼が浮気に走ったのも、私が、彼を大切にしてなかったからなのかなって。」
カウンセラー「イメージの中の彼にそれを伝えてもらってもいいですか?
         そして、彼にごめんなさいって言ってもらってもいいですか?」
陽子さん「・・・・はい。」
 
※画像はイメージです。
カウンセラー「彼に感謝できることって、どんなものがありますか?」
陽子さん「ここまで人を好きになったことがなかったので、
      そのことに、ありがとうって言いたいですね。
      それなのに、なんで裏切ったのって・・・・・。」
カウンセラー「その陽子さんを裏切った彼。彼のどんな部分が好きでしたか?
         陽子さんは、彼のことがずっと好きだったって
         言っていましたよね?
         なんで、陽子さんは彼のことを好きになったんですか?」
陽子さん「・・・・彼は、私を驚かせる、というか、サプライズ、
      というのが好きで、それは、付き合う前からもそうでしたね。
      一緒にいてすごく楽しくて、そういうところもそうですし、
      あと、なんだろ・・・優しかったですね。」
カウンセラー「そのときのことを、ちょっと思い出してみて、
         何か感謝できることはないですか?」
陽子さん「・・・・なんだろ、一杯ありますね。」
カウンセラー「たくさんある楽しかった思い出の中から、
         何か感謝できることを1つ選んでもらっても
         良いですか?」
 
_
_
陽子さん「はい。
      ・・・私の誕生日のときに、2人でデートをしていて、
      夜ご飯を食べるところを彼が予約していたので、その店に行ったら、昔の仲間も一杯いて、
      サプライズで誕生日パーティーになったんですね。
      彼がそういうのを企画してくれて。
      私が昔の仲間に長いこと会っていなくて、会いたい、というのを前に言っていたのを、彼が覚えていて、
      それで、みんなからっていうのでプレゼントももらって。
      すごく楽しかったし、嬉しくて・・・。」
カウンセラー「イメージの中の彼にそれを伝えてもらってもいいですか?
         そして、彼にありがとうって言ってもらってもいいですか?」
陽子さん「・・・・・・はい。言いました。」
カウンセラー「陽子さん、あなた自身のために、1つ、私から、陽子さんにやってもらいたいことがあります。
         彼を許してあげてくれませんか?
         彼がやったことは、本当に、陽子さんを傷つけたし、ひどいこと、だったかもしれません。
         ただ、彼は、そんなにひどい人でしょうか?
         陽子さんのために、いろんなサプライズを考えていた彼、
         本当に、陽子さんのことを愛していて、大切にしていた部分もあったって思いませんか?
         なんで、彼が陽子さんを裏切ったのか、それは、彼に聞いて見ないとわからないことかもしれません。」
陽子さん「私が悪いかもしれません。」
カウンセラー「なんでですか?」
陽子さん「彼のお母さんが、その・・・・
      心を?やんでいるというか、
      ちょっと、病院に行っているような人だったんですね。
      ただ、彼はそのお母さんのことをすごく大切にしていて、
      それは知っていたんです。
      でも、私、なんか、すごい汚い話なんですけど、
      そのお母さんに負けたくなくて。彼を独占したいというか?
      だから、そのお母さんに彼が優しすぎる、とか、離れたほうがいい、
      とか、彼を否定することを言ってたんですね。
      お母さんも、なんか、あなたに甘えているから、あんな風なんだとか、
      お母さんも否定することを言って、
      それで、彼が怒るというか、ふさぎこんでしまって。」
※画像はイメージです。
 
陽子さん「そこから、なんかギクシャクしだして。私もなんか引っ込みつかなくって、なんか・・・・。
      浮気相手というのが、その病院の看護婦かなんかで、親身に彼の話を聞いていたみたいなんですけど、
      それも、また、腹がたって。
      なんか、彼と母親と看護婦、みんな間違っている、みたいになって、また、私それも黙っていられなくて・・・。
      バカなことをしたって思うでしょ?先生は、そっち側ですもんね?」
カウンセラー「今でも、間違っているって思いますか?」
陽子さん「う〜ん。優しくするだけじゃなくて、本当に、本人に必要なこと、っていうのはあると思うんで、
      間違っている、っていう風には思わないですけど。」
カウンセラー「今だったら、彼に対して、どんな風に接することができると思いますか?」
陽子さん「全てを否定することはしないですね。
      彼の話をもっと聞いてから、意見を言っていく、っていう風にするし、
      やっぱり、人の人格を否定するようなことも言っていたと思うんで、
      そういうのは、今だったら、言わないと思います。」
カウンセラー「彼のお母さんに対する嫉妬があったんですよね?
         彼のお母さんっていうのは、何か、とっても弱い部分、というのを隠さない人、なんですよね?
         どちらかというと、人に頼りすぎるような?」
陽子さん「でしょ?先生もそう思いますよね?」
※画像はイメージです。
カウンセラー「そうですね。ただ、陽子さんにとって、それは、自分が
         しないように禁じているものだとすると、
         彼のお母さんがそれをやっているのを見て、
         それで、彼も、それを受け入れているのを見て、
         イライラっときたんだと思います。
         彼のお母さんが見せてくれていた部分。
         それは、彼に甘える、という部分です。
         ただ、陽子さんも甘えてよかったんですよ。
         もちろん、何事もやりすぎると、良くないかもしれません。
         ただ、陽子さんは、逆で、やらなさすぎたんじゃないかな
         って、私は思っています。
         彼に甘えたりってしてましたか?」
陽子さん「・・・・・そういうのは私じゃないんで。」
カウンセラー「そうすると、真逆のタイプを見て、腹が立つと思います。
         実は、陽子さんも思ってませんでしたか?
         私も甘えたいって。」
 
_
陽子さん「・・・・そうですけど。甘え、たいですよ?」
カウンセラー「彼のお母さんが見せてくれていた、人に甘える、という部分を、
         陽子さんの中にも取り入れることができたときに、陽子さん自身が楽になれます。
         陽子さんにとって、何か、甘えないようにしよう、というので、無理とか我慢、はしてなかったでしょうか?」
陽子さん「無理はしていなかったとは思うんですけど・・・、我慢はしていたかもしれません。」
ここで、カウンセリングの時間がだいぶ押していたため、 陽子さんとの話の中で、甘える、という部分と、その昔の彼を許す、 という部分を、次回のカウンセリングの中で扱っていく、ということとなった。
 
 
                        
Copyright(c) 2010 心鈴泉 All Rights Reserved.
本サイト(心理カウンセリング - 心鈴泉)に記載された全ての情報に関して、無断で引用、または、転載されることを固くお断り致します。