私が心理学を学び始めるきっかけをくれたのは、図書館で何気なく手に取った一冊の本でした。まるで自分が周囲から劣っているように感じていたその時の私にとって、心理学、というのは、今までの私のものの見方を変えていくものでした。
劣等感は、その頃の私にとって、とても馴染みのあるものでした。小学校の頃は、太っている、ということ、大人になってからは、髪の毛が薄い、ということと、恋愛経験が少ない、ということ、そんなことを心の中で気にしながら、少し捻くれた考えで世の中を見ていたかもしれません。
その頃の私は、就職する、ということを非常に怖れていました。会社の歯車の一部として、自分自身の人生のほとんどの時間をそこに費やす、ということは、もし、その仕事を好きになれなければ、とても大きな苦痛を伴うことだと思ったのです。そして、その苦痛を伴う人生のレールの上を、老人になるまで歩き続けなければならないこととなる・・・。そんな風に思っていました。
自分に何かしたいことがあれば、それに関連する仕事を選べばよかったのかもしれませんが、私には、何もしたいことがなかったのです。それもまた恐怖でした。また、私はその時点で、女友達も一人もおらず、誰とも付き合ったことが無い、という状態でした。
この先、社会の歯車としてやりたくない仕事を老人になるまでやりつつ、彼女もおらず、結婚することも無く・・・、という人生を歩むことになる、ということに対する不安と恐怖で、心の中が一杯になっている状態でした。
そんなときに出会ったのが心理学でした。私はその後、自分なりにやりがいを感じれることを見つけて就職し、また、結婚をすることにもなるのですが、そこに至るまでに、心理学が私に影響したことには、はかり知れないものがあります。
心理学について、自分なりにいろいろ本も読んだりもしましたが、最終的に、それを学ぶことができるスクールに通い始めることにしました。そのスクールでは、実際に自分自身がカウンセリングを受けることもできたのですが、その臨床体験も含めて、学べたことの中で一番大きかったのは、罪悪感を手放す、ということです。それにより、自分自身がとても楽になれました。
これは、楽になった後で気付いたことなのですが、普段から私は自分自身のことを、とても責めていました。その当時の自分は、自分自身の行動を省みるためには、自分を責めること、ということが自分にとっては必要なことだと思い込んでいました。
ただ、私にとってはその罪悪感があるのが普通すぎて、空気のようなものになっていたために、罪悪感が「ある」ということ自体に全く自覚がなかったんです。
そんな中、それを手放すことができたときの変化を、言葉で伝えるのは難しいのですが、感覚としてはそれまで背負っていた重たい荷物を、ちょこんと、おろしたような感じです。おろしたことに気付いたとき、自分は、なんでこんな荷物を今まで持っていたのだろう、と不思議にも思いました。
周りが見えなかった自分。人の気持ちがわからなかった自分。こんな荷物をもっていたら、荷物を持つのに精一杯で、そんな余裕はなかったんだろうなあ、わからないで当たり前だよなあ、と妙に納得したのも覚えています。
それが全てでではなく、他にも様々な気付きや出会いが訪れたために、最終的に就職や結婚、というものを手にすることとなったのですが、心の奥にあった罪悪感を手放し、楽になれた、というのが、そのスタートになったと私は考えています。
心理学は、心や感情の動きに焦点を当てて、人のことを論じたものだと思っています。それは、自分や人のことを理解したり、人生を展開していくのに役立てたり、恋愛や夫婦関係や、友達との関係や、職場での人間関係に役立てるのに、おおきな助けにもなり得るものです。
カウンセリングを通して、それを提供していきたいと、そんな風に思い、18年前から、自分でもカウンセラーとしての活動を始めました。このHPに訪れる人が、今見えている自分の人生の道のりをよりよい方向に軌道修正していけるきっかけを、ここで得ることが出来れば、と思っています。